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日々の駄文です。

ぼく勉と五等分(ネタバレ有り)

ちょいとぼく勉と五等分について語りたいと思います。

ネタバレを大いに含みますので、単行本派の方は引き返されよ。

 

 

 

よろしいか?

 

引き返されたか?

 

では始めます。

漫画の感想をブログにしたためるのは初めてなのでたどたどしいこともあるかと思いますが容赦なされよ。

 

 

ジャンプで大人気のラブコメ漫画「ぼく達は勉強ができない」と、

マガジンで大人気のラブコメ漫画「五等分の花嫁」がこのたび最終回を迎えました。

(厳密にはぼく勉は最終回ではありませんが)

 

このふたつの漫画は卓越したかわいい女の子の描写、勉強ができないヒロインに勉強を教える主人公、5人のヒロインと数多くの共通項を持ち、連載開始の時期が近かったこともあって、ハーレム系ラブコメの双璧として人気を博してきました。

 

普段

「フン・・・少年漫画でラブコメとかくだらねぇ・・・フン・・・」

とか思っていた僕も一目見た瞬間

「か、かわっ!!!女の子かわっ!!!!!買う!!!!単行本全部買うなりぃいいい!!!!!!!!!」

てなりました。

それほどまでに両者は圧倒的でした。

 

そんな似たところが多いふたつの漫画ではありますが、終わり方が非常に対照的で面白かったのでブログに書こうと思います。

 

まず先に最終回を迎えたのは五等分の花嫁でした。

五等分の花嫁は前述した女の子の可愛さに加えて、作中に散りばめられた数多くの謎と伏線、そして容赦のない展開が魅力で、ラブコメでありながらミステリー漫画を読んでるような緊張感が人気だったと思います。

僕も連載中ない頭ひねっていったい最後はどのヒロインとくっつくのだと考察したものです。

僕の推理は

「俺は4女が好きだ。だが最後に勝つのは5女だろう。センター感があるし、なによりあまりに何もしてこないのが『逆に』怪しすぎる」

というものでしたが、まんま4女が勝ちました。5女は飯食ってただけで終わりました。

僕の推理は見事に外れましたが、好きだった4女が幸せになってくれて僕は満足でした。

でも周りの五等分読んでた人達を見るとちらほら浮かない顔が多い。

そうです。ここにハーレム系ラブコメの大弱点があるのです。

 

ハーレム系ラブコメは「いったい最後誰とくっつくの!?」という大きな謎で読者を惹きつけてくれますが、同時に決着がついた時大多数の読者は沈んでしまうのです。

仮に5人のヒロインに均等に20%ずつのファンがついていたとしましょう(実際は個々で人気の開きはでますが、あしからず)

そうすると一人のヒロインが主人公に選ばれた時、残りの80%の読者は主人公と結ばれず悲しい結末を迎えた推しヒロインに同調して、なんだか悲しい気持ちで終わってしまうのです。

 

「読者の大半が最終的に曇る」

 

これがハーレム系ラブコメの解決できない宿命だと思います。

もちろんこれは極端かつ大雑把な考え方で、実際は推しが結ばれなくても充分読者として楽しませてもらったという意見が大半でしょう。

あくまで「心のどっかに小さなトゲが残る」ぐらいの話としてお聞きくださいませ。

 

さて、ここからが本題なのですがこれに対してのぼく勉です。

結論から言うとうるかちゃんが勝ちました。

中学生の頃から主人公・唯我成幸君を一途に想い続けた水泳少女。

僕も最初うるかちゃんに頭をやられてぼく勉ファンになったので嬉しさもひときわです。

「五等分に続いてぼく勉も俺の推しが選ばれた!!!痛快痛快!!!!!」

と僕も地球に選ばれたような気分になっていたのですが、話はここでは終わりませんでした。

 

そう、ぼく勉はラブコメ漫画界でおそらく初であろう「マルチエンディング」を採用したのです。

 

すなわち、ここから残りの各4人のヒロインが主人公と結ばれるifルートを全て描いてしまおうというのがぼく勉作者・筒井先生の構想でした。

 

なるほど、これは推しが選ばれなくて沈んでしまうハーレム系ラブコメの宿命を覆す画期的な方法かもしれません。

結末を全ヒロイン用意して読者に「好きなのをお選びください。それがあなたにとっての正史です」というわけです。

 

ですが素晴らしいアイディアだと思うと同時に、これは大いなるチャレンジだとも思います。

おそらくかなりの賛否両論があるでしょう。

 

まず僕個人の意見というか立ち位置を明確にしておきます。

僕個人としては今現在(あくまで今現在!)の考えは「否」です。

 

理由は3つ。

 

まず今まで何を見せられていたんだという思いが正直あります。

ここで全員を選ぶのなら、それは誰も選ばなかったことと同義なのでは、と。

バキの読みすぎで「決着を畏怖れるな」という板垣イズムに染まってるのもあると思います。

 

次にうるかちゃんはこのあと4回泣くハメになるんじゃないかという危惧があります。

全員が結ばれるルートを描くということは、全員が結ばれなかったルートを描くことと、これまた同義です。

「僕ぁうるかちゃんがフラれるのをこの後4回見るのかよ!」という恐怖があります。

 

そして最後に、

このマルチエンディングというシステムでヒロインは確かに全員救われるかもしれません。

でもその代わりに最も犠牲になるかもしれないキャラクターが一人います。

 

主人公の唯我成幸君です。

 

ギャルゲーでマルチエンディングが成り立つのは、そもそも主人公がプレイヤーの分身で玉虫色の性格をしており、ヒロインと結ばれるまでの選択肢がプレイヤーに委ねられているからだと思います。

 

でもぼく勉主人公の唯我成幸君には、

「父親を早くに亡くし、家は貧乏。でも母親と兄妹のために努力して勉強を頑張る、他人の努力を嗤わない優しい少年」

というキャラクターとしての確固たるバックボーンがあります。

 

これが一年かそこらの分岐で全ヒロインと結ばれうるとすると、とたんに成幸君が「生きたキャラクター」ではなくて、「物語の都合で動く装置」のように思えてしまいます。

成幸君がこの先うるかちゃんに言ったような熱いセリフを各ヒロインに吐いても

「でもお前この娘じゃなくてもいいよな・・・?」

という下世話なツッコミが脳内で勝手に入って、感動できる気がしません。

 

以上の3つが僕が今現在(くどいようですがあくまで今現在!)マルチエンディングに「否」と思う理由です。

 

 

でもですね。

 

 

そんなことは筒井先生は全て織り込み済みなのだと思います。

意見も批判も覚悟の上。賛否全て受け入れると心に決めてこのチャレンジに踏み切ったのではないかと。

 

そこには「ヒロイン全てに幸せになってもらいたい」という筒井先生の強い願いが感じられます。

そのために主人公である成幸君が犠牲になるなら、今限りなく筒井先生と成幸君は同調した存在と言えるでしょう。(そもそもこの終わりを見越して「なりゆき」君だったんだなぁと)

 

きっちり決着をつけた五等分の花嫁には物語に対する真摯さを感じますが

全員の救済を考えたぼく勉にはキャラクターへの愛情を感じます。

 

どちらが正しいという答えは人の数で、必ず万人が納得することはないのがハーレム系ラブコメ漫画(というか創作物全般)ですが、僕にとって確かなのは両作品とも強いチャレンジ精神が感じられてすごく好きだということです。

両作品とも最終巻まで買うと思います。

ぼく勉はいっそ妹編までやってくれていいと思ってます(石投げないでください)

 

それではこのあたりで。

駄文失礼いたしました!

 

(終わり)