『人斬りは早い者勝ちである。巧遅よりも拙速・・・巧みな剣技よりも速さが生死を分かつ』 (徳弘正也著・狂四郎2030 7巻 55話より抜粋)
どうも。筆が激遅いわりに、じゃあ上手いかというとそうでもないお隣です。
早いというのはそれだけで強い。
昔は納得できなかったが今は骨身にしみて理解できる。
事の発端は約3か月前。
バーチャファイター布教の伝道師である山田哲子さんから
「これこれこういう感じで漫画描きませんか?」
と打診をいただいた。
「人に請われて漫画描くなんて初めてだ!もちろんやりますよ!ウフッ!」
とふたつ返事で了承した。
哲子さんから頂いたテーマはもちろん
「新作がなかなか出ないバーチャファイターへの思い」
これにその時ちょうどハマっていた「銀河英雄伝説」のテイストを混ぜて、言いたいことを言いつつも出来るだけ楽しく読んでもらえる事を目指して漫画を描き始めた。
「一か月ぐらいで仕上げます!!!」
元気よく8月25日にそう宣言した俺が漫画を完成させたのはズバリ昨日12月3日である。
9・10・11月は消し飛んでしまったのだ。
俺は新手のスタンド攻撃を疑ったがどうやら悪いのは俺らしい。
だがこれには言い訳がふたつある。男は言い訳をしてはいけないのだが聞いてほしい。
まずひとつめにマキオンが神ゲーすぎたのだ!
俺は今年前半にオリジナル漫画を完成させ、そこから画力の無さを痛感して中盤は3か月お絵描き修行を断行し、かつてないほど頑張っていた。
そこに現れたのがバンナムからの刺客、
みんな大好き「機動戦士ガンダムエクストリームバーサスマキシブーストON」
通称・マキオンである。
近年のラノベタイトルを思わせる長さの名前を持つこの作品は2オン2の4人対戦で、テンポがよく、笑いどころが多く、とにかく中毒性が高い。
はっきり言って一日何時間でもやってしまうのだ。
しかもこのゲームの厄介なところは一度腕前が置いていかれるともう遊びたい4人では遊べない。マグロのように泳ぎ続けなければならないのである。
そんなこんなで今年中盤まで頑張っていた俺のお絵かきライフはズタズタになった。
気がつけばマキオンのことしか考えられなくなり、帰宅すると猿のようにマキオンする日々が続いた。マキオン動物園とはよくいったものである。
「それでもまあ2か月はかからないだろう・・・」
カレンダーで無為に過ぎていく日々を見ながら俺がそんなことを考えていた時、
凶報が舞い込んできた。
これが言い訳その2である。
明確にバーチャ6と記述こそされてないものの限りなく新作を匂わせるこの発表は
もちろん凶報どころか哲子さん及び全バーチャ勢が待ち望んだ吉報なのだが、俺には後ろからバットで殴られたような衝撃であった。
「バーチャファイターが出ない」前提で描かれていたこの漫画は後半の内容を全て描きなおすことを余儀なくされたからだ。
「なんで!!??12年間音沙汰なかったものがなんでよりにもよってこのタイミングで!!??」
ギャンブルに負けたカイジのような顔で俺は床を転げまわった。
さぼらなければよかった。毎日休まず描けばよかった。一日でもこの発表より先に俺の漫画が先んじていれば、漫画を読んでもらいつつみんなで「バーチャよかったね!!」
て喜び合うこともできたというのに・・・!
俺の筆がもっと早ければ・・・!!!
激しい悔恨が俺を襲ったが全て後の祭り。
俺は泣きながら後半の内容を大幅カットし、この発表のあとでも意味が繋がる漫画に仕立て直した。
繰り返すが、「早い」というのはそれだけで「強い」
今回の最大の教訓である。
特にこの変化の目まぐるしいネット社会では今回のように、昨日こっちに吹いてた風が今日は逆に吹いてるなどザラである。
極端な話やりたいネタがあるとして、一日でも先にやられたらそのネタはもう劣化品なのだ。
対応するにはとにかく早さ。早さが必要である。
だが俺には現状「早さ」はない。
絵が下手だからである。
早く描くには上手くなる、上手くなるにはいっぱい描く、いっぱい描くには早くなる。
解けない知恵の輪のようである。
だからせめてこれからはマラソンランナーのように「止まらない」ことで「早さ」に変えていけたらと思うのである。
「継続」もまた「強い」
では最後に昨日ツイッターに投稿したものではあるがここにも完成した漫画を
置いておこうと思う。
読んで頂ければ幸せなことこの上ない。
原案:山田哲子 漫画:お隣
本格的社会派漫画「なんで出ないのバーチャファイター6」